オリーブオイルの産地

PDO アセイテ・カンポ・デ・カラトラバ(Aceite Campo de Calatrava)

コルニカブラとピクアルというオリーブの木(学名Olea Europea L)の実から取れるエクストラバージンオリーブオイルです。実の油分を損なわないように機械または手作業で製造され、原材料の実の風味や香り、特徴を残しています。

特徴

オイルの色は、収穫の年と収穫時期によって黄緑色から濃緑色と異なります。原材料として使われるそれぞれの品種の特徴を示すグリーンオリーブや青りんご、その他の新鮮な果物を感じられる複雑でしっかりとしたフルーティな香りがします。またポリフェノールを多く含んでおり、口の中で味わったときに苦味と辛味がはっきりと感じられるバランスの取れた風味があります。

その他の特徴

  • 酸度:0.5以下
  • 過酸化物価:15未満
  • 水分および不純物:0.1%未満

製造および加工方法

オリーブの木はアルカリ性土壌の中層に植えられています。栽培者は真冬に向けて作業を始め、2月中旬に剪定が始まります。

3月から、固くなった土壌の表面を耕し、除草します。この工程が11月まで数回繰り返されます。

春と秋には、ハエやオリーブガ、ピーコックスポット(peacock spots)菌など害虫や病気の予防を行います。この害虫・病気予防の際には同時に微量元素または窒素を含んだ肥料を施すことがあります。

収穫は、手摘み、もしくは棒でオリーブの木を叩いたり機械で木を揺すったりしてオリーブの木から直接収穫します。地面に落ちたオリーブではなく、木から収穫したオリーブのみが原産地呼称(DO)用のオリーブオイルに使われます。そのため、収穫された実をその場で選別する必要があります。

運搬には、オリーブの実が傷ついたり腐ったりしないように、ばら積み(バルク)や箱、トレーラー、容量制限付きの硬質容器が使われます。

加工前の仮貯蔵は禁じられています。

搾油工場に着くとすぐに、品質保持のため地面に落ちたオリーブと木から収穫したオリーブが混ざらないよう別々に荷降ろしされ、それぞれ加工されます。

そしてオリーブの実は収穫後24時間以内に加工されます。粉砕時間は90分未満で1回のみ行われます。粉砕時の気温は、最も悪条件下で計測したときに、30℃を超えないようにします。粉砕されたオリーブの実は水分と油分を含んでおり、遠心分離機内の温度は35℃未満を維持します。搾油機には定期的に粉砕機を洗浄するシステムが付属しています。

PDO認定を受けたオイルは、適切にラベルが貼られたステンレス鋼製のタンク、またはエポキシ樹脂加工またはグラスファイバー加工された遮光性の容器・タンクで室内で保存されます。そして貯蔵タンクにはすべてカバーをかけ、屋外での保存は禁じられています。

貯蔵室(セラー)とタンクは、内部のオイル温度が常に25℃を超えないように温度が調整されます。

製造プロセスのすべての工程で製品の特性を保持するためには、指定されたPDO認定地域内で充填が行われます。これにより、原産地呼称制度の指定機関が製造サイクル全体を管理することができます。

地形(土地の起伏)および天候

カラトラバ地方はイベリア半島の中央台地南部、平均標高600m超のところに位置しています。中央台地南部の内陸部という緯度の関係から、カラトラバ地方は大西洋気候系からはかけ離れていますが、カラトラバ地方より西に位置する地域ほど孤立状態でもありません。

高気圧がよく発生するだけでなく内陸地に位置していることもあり、冬と夏の気温差はかなり大きいです。また、南西方面やジブラルタル海峡からの雨をもたらす前線と低気圧が通過する地域に隣接しており、年間の降雨はこの地域でほとんど発生します。カラトラバ地方の通常降雨量は500mm未満です。

土壌はアルカリ性で培地を含んでいます。

地勢としては、火山性物質もこのPDO認定地域の景観の顕著な特徴の一つとなっており、カラトラバ地方の地形学的特徴を作り出しています。

PDO アセイテ・カンポ・デ・モンティエル(Aceite Campo de Montiel)

この地域では、コルニカブラ、ピクアル、マンサニージャ(Manzanilla)、アルベキーナというオリーブの木の実から取れるエクストラバージンオリーブオイルを作っています。実の油分を損なわないように機械または手作業で製造され、原材料の実の風味や香り、特徴を残しています。

特徴

この地域のオリーブオイルはフルーティさと苦味、辛味の強さのバランスが安定しています。幅広く栽培されている品種はコルニカブラとピクアルです。独特な苦味と辛味があり、それがこのオリーブオイルの特徴となっています。味と香りに関する評価では、苦味要素が3~6、辛味要素が3.4~6.3で、他の品種にもあるリンゴとアーモンドの香りがかすかに感じられます。

このDO認定を受けたオリーブオイルには、まだ青いオリーブと熟したオリーブ両方のフルーティな風味があります。両方の風味を同時に持つこともありますが、収穫した時期によりどちらかの風味がわずかに強くなります。12月初旬にピクアルから作られたオイル、もしくは12月下旬にコルニカブラから作られたオイルは、主に青い実の風味がします。そして収穫が続く1月下旬にかけて、徐々に熟していきます。

その他の特徴

物理的、化学的特性および官能特性

  • 平均欠陥値:0
  • 平均フルーティさ: 2.5以上
  • 最大酸度(オレイン酸の割合):0.5%
  • オイル1kg当たりの活性酸素に含まれる最大過酸化物価:15m.e.g
  • 紫外線吸光度:K270は最大0.20、K232は最大2.50
  • 水分および不純物の合計: 0.1 %以下

製造および加工方法

原産地呼称の認定を受けているこの地域のオリーブ果樹園では約90%が灌漑方法を採用していません。灌漑区域は新しい栽培地であることが一般的で、点滴灌漑システムを採用しています。この区域のオリーブ果樹園としての平均的な年数は約40年~60年ですが、なかには100年以上の歴史をもつ果樹園もあります。

剪定はいわゆる伝統的な方法で2年に1回行われています。主にチェンソーが使われますが、まれに斧が使われることもあります。

収穫も伝統的な方法で行われています。棒を使って収穫したり、または棒で木を揺らしたり、振動機を使用し、オリーブの実を受けるシート付きのトラクターを使って揺らしたりして収穫します。

オリーブの実は最適な熟成時に収穫され、木から収穫された実と自然に地面に落ちた実は必ず選別しなければなりません。DO認定用のオイルの製造には、木から直接収穫された実のみが使用されます。地面に落ちた実は、オイルにすると品質が落ちるので、廃棄されます。

運搬には、実が傷ついたり腐ったりしないように、ばら荷や箱、トレーラー、容量制限付きの硬質容器が使われます。トレーラーや容器は積荷する前に冷水の高圧ジェットで洗浄されます。作業場での発酵(腐り始め)を防ぐために、収穫してから24時間以内に搾油工場に運ばれます。

オリーブの積荷が搾油工場に運ばれると、目視検査が行われます。その後、地下の受入ホッパー(じょうご型の大きな容器)に入れられ、ベルトコンベアで実に付着した異物を取り除く工程に運ばれます。この工程では、空気噴射でオリーブの実についた葉や枝、小石、小さいオリーブの実などを取り除きます。そして、水による洗浄工程を通り、クリーニング工程で完全に取り除けなかった汚れなどをすべて洗い流します。

その後、実の重さを計測し、積荷単位で供給者の名前、容量(kg)、生産自治体が記録されます。また、積荷内のオリーブの実が1種類だけのときはその品種名も記録されます。

オリーブの実は待機ホッパーで保存され、ハンマーミルに運ばれます。ハンマーミルで、実の細胞を壊し、実の中にある油分を抽出します。この粗砕工程は、実がハンマーミルに運ばれてから24時間以内に行われます。24時間を超えると、実が発酵し始め、オイルの品質に影響を及ぼします。

粉砕後にできた実のペーストは、ベルトコンベアで撹拌機へと運ばれます。この撹拌機にはペーストを回転させて混ぜるためにサイズの異なるヘラと加熱装置が付いており、製造するオイルの量と品質に悪影響を与える乳化を防ぎます。この工程時間は90分以内で、ペーストの温度は25~30℃です。粉砕工程で水と乳化剤を加えるのは、ペーストが扱いにくい場合(乾燥し過ぎている、または水分を多く含み過ぎている場合)に限られています。その添加量は0.5%~2.0%でなければなりません。粉砕後、ペーストのそれぞれの構成物質を分離します。

この分離工程は水平型遠心分離機またはデカンターで行われ、油分とその他の固形物が遠心力によって分離されます。通常、ペーストをさらに滑らかにするために、この段階で水が使われます。この時の温度は35℃を超えないようにします。たいていの場合、搾油工場内では、デカンテーション・エリアは他のエリアから離れており、デカンティング工程後のオイルを最高品質にするため、温度を約20℃に維持します。貯蔵室(セラー)の温度は約15℃~20℃に保たれます。保存されたオイルの加工および充填は指定されたPDO認定地域内で行われます。

充填業者は、作業場所でDO認定を受けたオイルを他のオイルと分けて、充填できるシステムを有していなければなりません。またオイルを計測するシステムについても承認を受けている必要があります。

充填はガラスやプラスチック、PET、金属、磁器、陶磁器の5L以下の容器で行います。

地形(土地の起伏)および気候

モンティエル地区は7,000km2 の白亜質の台地にあり、平均標高は850mです。物理的に均質の土地で、他の隣接地域にはない独自の地物と特徴があり、ほとんどが農村地帯です。

土壌は茶褐色または茶色がかった典型的な石灰岩です。大部分が炭酸カルシウムでできており非常に良質な土壌です。

過酷な気候で、長い冬は非常に寒いですが、夏の日照時間は長く、陽射しが非常に強い暑い日が続きます。そのため気温差はかなり大きいです。降雨量は少なく600mm~700mmです。

PDO アセイテ・デ・ラ・アルカリア(Aceite de La Alcarria)

この地域では、カステッラーナ(Castellana)、またの名をベルデハ(Verdeja)という品種のオリーブの木の実から取れるエクストラバージンオリーブオイルを作っています。実の油分を損なわないように機械または手作業で製造され、原材料の実の風味や香り、特徴を残しています。

特徴

とてもフルーティで香り高いオイルです。刈り立ての草やヘーゼルナッツ、バナナのかすかなフレーバーが混じった特徴的なオリーブの葉の香りがします。口の中で味わったときに、わずかに辛味が感じられます。オイルの色はレモングリーンですが、実の収穫時期と熟し具合により多少濃い色にもなります。

その他の特徴

  • 酸度:最大0.7
  • 過酸化物価:最大15
  • 紫外線吸光度K270:最大0.20
  • 紫外線吸光度K232:最大2
  • 水分:最大0.1%
  • 不純物:最大0.1%

製造および加工方法

地面に落ちたオリーブではなく、木から収穫したオリーブのみがDO認定用のオリーブオイルに使われます。そのため、収穫場所で選別する必要があります。運搬手段には、オリーブの実が傷ついたり腐ったりしないように、ばら荷や箱、トレーラー、容量制限付きの硬質容器が使われます。トレーラーや容器は積荷する前に冷水の高圧ジェットで洗浄されます。発酵(腐り始め、DOに適しない状態)を防ぐために、収穫してから24時間以内に搾油工場に運ばれます。

工場には必ず品質分類と選別の保証担当者を置かなければなりません。また、積荷を降ろす際に最高品質の実と基準に満たない実を分け、確実に別々に加工するシステムも備える必要があります。ホッパーは毎日積荷を降ろす前、さらに必要に応じて高圧ジェット水で洗浄されます。自然に落ちた実が及ぼすダメージを最小限にとどめる方法で荷が降ろされます。

粉砕時間は60分未満、1回のみ行われます。粉砕時の温度は、最も悪条件下で27℃を超えないようにします。粉砕後のオリーブの実は水分と油分の混合物で、遠心分離機に入れた時の温度は35℃未満を維持します。搾油機には、定期的に粉砕機を洗浄するシステムが付属していなければなりません。オイル内部の温度が25℃を超えないように、貯蔵室およびタンクの温度を調整します。充填にはグラス、被覆金属、PET、ガラス化された陶磁器が使用されます。

地形(土地の起伏)および気候

ラ・アルカリア(La Alcarria)郡でDO認定用のオリーブの実が生産されていますが、この地域は急斜面と浅土で、冬の厳しい寒さと夏の暑さで知られています。これらすべてが、この地で生産されるオリーブオイルの品質を高め特別なものにするための独自の土地を形成しています。

PDO アセイテ・デ・ラ・コムニダ・バレンシアナ
(Aceite de la Comunidad Valenciana)

バレンシア州で栽培されているオリーブの木(学名Olea europea, L.)から収穫された実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。その品種はマンサニージャ・ヴィジャロンガ(Manzanilla Villalonga)、ブランケタ(Blanqueta)、ファルガ(Farga)、セラナ・デ・エスパダン(Serrana de Espadán)、モルダ(Morruda)、コルニカブラ、アルファファラ(Alfafara)またはグロサル(Grosal)、チャングロット・レアル(Changlot Real)、ロハル(Rojal)、カネテラ(Canetera)、ナナ、エンペルトレ、クキリョ(Cuquillo)、ソジャナ(Sollana)、カジョシナ(Callosina)、ルメタ(Lumeta)、ミラレンカ(Millarenca)、ボリオレンカ(Borriolenca)です。

特徴

この地域で製造されるオリーブオイルは、グリーンオリーブとアーモンド、バナナ、緑の草などのフルーティな香りがします。また、苦味と辛味は中程度から低めであり、非常に濃い風味です。この辛味と苦味の度合いと風味のバランスがとても良く取れています。

その他の特徴

DO認定を受けたエクストラバージンオリーブオイルの酸度は0.7未満、過酸化物価は20未満です。このオイルの脂肪酸は、高濃度のオレイン酸と程よい量のリノール酸、そして高濃度の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸が非常に良いバランスを保っています。また、高濃度のトコフェノールも含んでいます。

製造および加工方法

バレンシア州の主なオリーブ栽培は伝統的なオリーブ果樹園によるもので、収穫量は限定的ですが、非常に品質の高いオリーブを育てています。

オリーブの木は列を作って植えられています。1ヘクタールあたり平均101.7本、1区画(約10x10mの面積)につき1本植えられています。主に灌漑されていない土地で栽培されており、生産量の少ない伝統的なオリーブ果樹園と同様に、オリーブの木1本に対する実とオイルの平均的な生産量はかなり少なめです。

伝統的なオリーブ栽培方法では、農業が環境に及ぼす影響を最小限に収める方法が採用されています。栽培にまつわる主な手入れは、土壌改良、施肥、耕うん、剪定、水やり、害虫・病気の予防です。

オリーブの実が十分に熟したと見られたら、収穫が始まります。伝統的な収穫方法は、最も一般的に行われている手摘みで、木から直接オリーブの実を収穫します。オリーブの品質を損なわない方法であれば、様々な高性能機械も使用されることがあります。

収穫された実はプラスチック製の箱や清潔なトレーラーに入れられ、当日中に圧搾工場へと運ばれます。PDO認定の「バレンシア州のオリーブオイル」とされるオイルには木から摘まれた実のみが使われています。地面に落ちた実は必ず取り除かれます。収穫から工場での加工まで48時間以内に行われなければなりません。

オリーブの実を加工するときには、以下の要素が考慮されます。

‐実は連続法により搾油する。

‐ペースト状の温度が高くなり過ぎないように温度を保ち、オイルの官能特性が損なわれないようにする。

‐乳化剤として、唯一滑石(タルク)が認められている。

‐主に遠心分離機を使って分離する。

‐水平型および垂直型のデカンテーション工程で、必要に応じて添加される水の温度は、36℃以下を維持する。

‐オイルに含まれる不純物のレベルによって無添加のデカンテーションを行う。

オイルはステンレス鋼か他の素材を使用した密封されたタンクで保存されます。貯蔵タンクは製品の品質が少なくとも1年間は維持されることを保証できなければなりません。充填は、その工程のすべての段階でオイルの特性を維持するために、生産地域内の登録された工場でのみ行われています。

地形(土地の起伏)および気候

バレンシアの景観は、海に開けた巨大なファサードに例えられます。土地の起伏のほとんどは、平原や谷が垣間見える山の多い地域にあり、海岸に向かって延びています。表面の岩はほとんど石灰岩ですが、なかには砂岩や泥灰土、カルスト地形が露出しているところもあります。一般的に、主に低層が中生代で、ジュラ紀および白亜紀の(泥灰土や砂岩が混ざった)石灰岩で構成されています。近代の副次的物質がオリーブ栽培の土壌を作っており、主に第三紀と第四紀の物質で構成されています。これがオリーブの木の際立った特徴を作り出しています。

バレンシア州は典型的な地中海性気候に属しています。冬は比較的暖かく雨が少なく、春と秋は多雨、夏は日照りが強いという特徴があります。地中海、半島、大西洋海流の影響によって典型的なバレンシアの気候が成立しており、オリーブの木に固有の特徴を与えています。地理的な起伏の大きさが海岸気候と内陸気候の間に自然の境界線を生み出しています。年間の平均降雨量は500mm~600mmです。

オリーブを栽培している地域の年間平均気温は12℃~16℃で、冬(平均して6℃~10℃)と夏(平均して22℃~26℃)の寒暖差が大きいです。

オリーブの木は主にバレンシア州の中央地域で栽培されており、オリーブに際立った特徴を与えています。冬と夏の寒暖の大きさが品質パラメーター値の上昇を支えています。春と秋の集中的な降雨はオリーブの木の栽培と製造されるオイルの品質にとって非常に良いこととなっています。

PDO アセイテ・デ・ラ・リオハ(Aceite de La Rioja)

この地域では、合計13品種のオリーブの木(学名Olea europea)の実を使用して機械製法によって製造されるエクストラバージンオリーブオイルを作っています。その品種の中で最も多く栽培されているのはレドンディーリャ(Redondilla)、アルベキーナ、エンペルトレです。

特徴

製造されるオイルは透明で、淡い緑から深く濃い緑色をしています。季節初めにはフルーティさとともに苦味のないアーモンドの風味と甘みがわずかに感じられ、かすかに辛味もあります。

その他の特徴

分析データ

  • 最大酸度:0.80
  • 105℃105 1Cで試験した場合の水分および揮発性物質:0.1%以下
  • 最大紫外線放射吸光度(K270):0.20
  • 不溶性不純物:0.1%以下
  • 最大紫外線吸光度(K232):2.50
  • 官能性欠陥の平均評価(Md):Md=0
  • 過酸化物価(mEq O2):15未満
  • フルーティさの平均官能評価(Mf):Mf>0

製造および加工方法

この地域のオリーブ栽培者はオリーブについて深い知識を持っています。また均衡のとれたオリーブ果樹園にするために、伝統的な農業技術を採用しており、トップレベルの品質を持つオリーブオイルの製造にしっかり照準をあわせています。収穫は常に、細心の注意を払って行われます。最も状態の良い実だけが最適に熟したときに木から直接収穫され、PDO認定オイルの製造に使用します。

PDO認定オイルの製造に使用される実とその他の実が混ざるのを避けるため、積荷が別々に降ろされるシステムが搾油工場および充填工場には必ず構築されています。また、加工前の実と製造されたPDO認定オイルを保存するために最適な施設を有していなければなりません。

オリーブの実は収穫後48時間以内に粉砕されます。48時間を超えると、圧力によって実が痛み始め発酵が始まり、酸化してしまいます。

実の油分を抽出する際、圧縮工程では30℃、遠心分離機の工程では45℃を決して超えないようにします。攪拌は最大でも60分間、1回のみ行われます。温度は30℃以下を維持します。

製造されたオイルは、できるだけステンレス鋼製のタンクまたは伝統的な地下樽、金属セラミックやエポキシ樹脂、不活性物質など食品グレードの物質で内側をコーティングした金属製のタンクで最高の状態で保存されます。タンクは密閉され、22℃以下に保たれた安定かつ温暖な保存状態で保存されます。

物理的、化学的基準を満たし、特別委員会の官能試験に合格したオイルのみ、パッケージ工程に進みます。

PDO アセイテ・デ・ルセーナ(Aceite de Lucena)

この地域では、主にオヒブランカというオリーブの木(学名Olea Europea L.)から収穫された実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。オヒブランカはルセンティナという名でも知られており、原材料の90%以上を占めています。副次的な品種としてはアルベキーナ、ピクアル、レチン、テンプラニーリョ(Tempranilla)、オカル(Ocal)、カンパニル(Campanil)、チョルオ(Chorrúo)があります。

特徴

色合い:収穫時期によって明るい緑色と黄緑色と異なります(BTB溶液で2/4~3/4)。

風味:DO認定を受けたオイルは程よいフルーティさがあります。またアーモンドの風味も感じられ、苦味と辛味のバランスが取れており、非常にマイルドです。

香り:主に、新鮮な青々とした刈り立ての草の香りがします。

その他の特徴

  • 物理的および化学的特性
  • 酸度:最大0.8%
  • 過酸化物価:オイル1kg当たり最大15mm当量O2
  • 紫外線吸光度(K270):最大0.15
  • 水分量:最大0.2%
  • ポリフェノール(コーヒー酸の割合):最小値100ppm、平均350ppm
  • ロウ:最大250mg

製造および加工方法

オリーブの木の栽培:

DO認定を受けている地域のオリーブ果樹園では通常、1ヘクタール当たり70本から150本のオリーブの木が正方形または長方形のパターンで植えられています。これにより、太陽光が果樹園全体に行き届きます。

収穫:

認定地区での収穫は、熟し具合と油含有率の分析を元に行われます。これにより、ポリフェノール値の変化を検知して、マイルドなオイルを製造することができます。また、実が自然に落下する前の収穫も可能です。収穫は主に機械式(バギーや振動機)によって行われます。収穫時期は毎年異なりますが、11月初旬から12月初旬の間に行われます。DO認定のオイル用に使われる実はオリーブの木から直接収穫され、地面に落ちた実と分けて運搬します。

収穫された実は収穫後24時間以内に運搬されます。収穫は、実に悪影響を与えないように清潔さと新鮮さを保つ方法で行われます。

洗浄された実は、実についた水分を取る機械を通り、出来る限り水切りします。実がきれいになり重さを計測したら、工場に運搬後24時間以内に粉砕前の張込ホッパーで保存されます。

粉砕:連続方式の金属ハンマー粉砕機を使って行われます。これによって、粉砕により生じる粒子が一定の大きさに揃えるために選別機を通します。

混合:水平型または垂直型の撹拌機が使われます。攪拌工程後の混合物の温度が35℃を超えないようにします。

分離工程:攪拌後のペーストはポンプ付きのデカンターに入れられます。ここで主要製品である油分が抽出されます。その油分は35℃以下で垂直型遠心分離機を通り、完全に精製されます。

デカンティング:オイルは通常、デカンターと言われる貯蔵タンクに送られ、自然デカンテーション、つまり重力によってオイル内の不純物が沈殿するのを待ちます。

オイル保存:オイルが採油されたらすぐに、充填して販売するまでタンクで保存されます。

充填:個人生産者が経営している小さな工場では手作業で行っていますが、DOP認定のルセーナ地域の充填工場には大規模かつ高度な機械が導入されています。これにより生産地でオイルを充填するという条件を満たすことができます。

地形(土地の起伏)および気候

地質学の観点から見ると、堆積石灰岩、ローム層、玉虫およびサンゴ色の石灰岩、白亜質の土壌や石灰岩がオリーブの木の栽培に最も適した土壌を作り出しています。これらはすべてジュラ紀に見られる典型的な土壌です。このような土壌はルテ地域全体、特にアギラル・デ・ラ・フロンテラ(Aguilar de la Frontera)で豊富な土壌が広がっています。白亜質の土壌はモンティーリャ(Montilla)東部とモントゥルケ(Monturque)に多く見られます。モントゥルケにはプエンテ・ヘニル(Puente Genil)やルセーナでも多く見られる灰色の石膏を含んだローム層があります。

生産地の平均標高はプエンテ・ヘニルの171mからイスナハル(Iznájar)の800mまでと幅があります。平均標高400mというこの土地では良質のオイルが取れます。

この地域の天候は地中海性気候で、冬は暖かいところもあれば寒さが厳しいところもありますが、夏は暑く乾燥しています。冬の最低気温が-8℃を下回ることはなく、夏は長期間にわたり40℃を超えることがよくあります。

PDO アセイテ・デ・マヨルカ(Aceite de Mallorca)

この地域では、マジョルキーナ(Mallorquina)、アルベキーナ、ピクアル、エンペルトレというオリーブの木(学名Olea europea, L.)の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。実の油分を損なわないように機械または手作業で製造され、原材料の実の風味や香り、特徴を残しています。

特徴

フルーティタイプ:主にアーモンドのような甘さとオリーブのフルーティさがあります。適度な苦味と辛味があり、色は緑がかった黄色です。

`スイートタイプ:甘みが非常に強いですが、苦味と辛味もわずかに感じられます。色は、明るい黄色です。

その他の特徴

分析データ

  • 酸度:最大0.8
  • 過酸化物価:1kg当たり最大18 meq O2(10月まで貯蔵室で保存した場合、1kg当たり20 meq O2)/li>
  • 紫外線吸光度 K270:最大0.20/li>
  • 水分量:最大0.1%/li>
  • 不純物:最大0.1%/li>

製造および加工方法

マヨルカ島のオリーブ農園は台地にあることがほとんどです。起伏の大きい、典型的なマヨルカ段丘に位置しています。土壌は保たれており急な斜面でも穀物栽培が可能で、降雨を利用し土地の浸食も抑えています。一般的にマヨルカ島ではオリーブ栽培とマヨルカ羊の飼育が同時に行われており、有機肥料という栄養素と除草の2つの役割を果たしています。

実の熟し具合が理想的な段階に達したら、手摘みや長い棒で枝を揺らす伝統的な方法または機械を使って揺らして、実を収穫します。その後、収穫された実はダメージを避けるためのガイドラインに則って、搾油工場に運搬され、25℃未満に保たれた区域で保存されます。実が収穫されてから48時間以内に油分が抽出され、品質毎にタンクで保存されます。タンクは、遮水性の不活性物質(ステンレス鋼、ポリエステル/ガラスファイバー、ガラス化された金属被膜など)で作られており、簡単に掃除ができます。倉庫はオイルが25℃以下の適切な温度で常に保存されるように、建てられています。

オイルの脂肪酸が酸化するのを避けるために日光を避けて、充填が行われます。

地形(土地の起伏)および気候

マヨルカ島の農耕は、基本的には白亜質の土壌で行われています。不純物が含まれている割合は非常に低く、有機物はわずかしか含まれていません。pHはアルカリ性寄りで、炭酸カルシウムが非常に多く含まれています。そのため、土壌の色は明るい赤茶色または濃い茶色です。オリーブの木の根系が簡単に貫通できる粒子の細かい栄養豊富な粘土質の水平層です。この粘土質によりオリーブに独自の特徴と他にはない香りが生まれます。

マヨルカ島のオリーブ農園は、海抜0mから標高800mと様々な標高に位置しています。島の北部にあるトラムンタナ山脈(Serra Tramuntana)の一部にオリーブ農園があり、この山脈が農業に被害を及ぼすトラムンタナ風に対して自然の巨大な壁となっています。このノコギリ状の山脈は海寄りの険しい崖と南側の緩やかな斜面が特徴的です。南に面するように山の中腹に段々畑が作られており、その斜面のおかげで陽射しがあたるだけでなく、冷たい北風からも守られています。これがオリーブ栽培に最適な条件となっています。

マヨルカ島の気候は、温暖な冬と暑くて乾燥した夏というはっきりとした地中海性気候です。年間の平均気温は17℃です。平均降雨量は570ミリです。降雨は年間降雨量の約40%を占める秋に集中しており、夏は非常に少ないです。島の周辺湿度は非常に高く、オイルの成分を保つことができオイルの品質にプラス影響となっています。

PDO アセイテ・デ・モンテルビオ(Aceite de Monterrubio)

この地域では、コルネスエロ(Cornezuelo)とハバタ(Jabata)またの名をピクアルというオリーブの木(学名Olea europaea L.)の実を主原料としてエクストラバージンオリーブオイルを作っています。この2品種が90%を占めており、その他の品種はモラー(Mollar)、コーニッシュ(Corniche)、ピコリモン(Pico-limón)、モリージャ(Morilla)、コルニカブラです。

特徴

香りが高く、非常に安定したオイルで、色は緑がかった黄色です。アーモンドの風味を感じるフルーティさとわずかな辛味と苦味があります。

その他の特徴

分析的特徴

  • 最大酸度:0.5度
  • 水分量:0.1%未満
  • 不純物:0.1%未満
  • K270:0.20未満
  • 過酸化物価:20.0未満

製造および加工方法

栽培はますます簡易になってきており、耕運機で2、3回耕すだけです。今日、施肥には葉や土壌を通して与える無機物と主に豚の糞を土壌に直接与える有機物の2種類が採用されています。

剪定は伝統的に、収穫後の2月~3月下旬に手作業か機械を使って丁寧に行われます。1年に1回(夏の終わり頃)または2回(夏の初めと終わり)、地表面の新芽を取り除きます。これは昔から行われているやり方です。

ほとんどのオリーブ果樹園は伝統に則って乾地農法を採用していますが、現在は点滴灌漑を導入する傾向があります。木から直接収穫された実のみがオイル製造に使われ、地面に落ちた実は使われません。収穫は伝統的に手摘みが行われてきました。しかし実を受けるシートが付いた木を揺らす機械やシートが付いていない機械による収穫が増えてきています。PDO認定用のバージンオリーブオイルにするためには、実の収穫からオイルの抽出までの間隔が66時間を超えないことが重要です。しかし、この制限時間は収穫時の特徴や天候によって規制協議会により毎年変更されます。

オリーブオイルの抽出工程

‐断続的または伝統的抽出方式

まず、異物は(葉、石など)すべて果樹園で取り除かれます。搾油工場に運搬されると、収穫された実は洗浄され、花崗岩でできた円錐形の砥石でペースト状になるまで粉砕されます。粉砕と攪拌の時間によりオイルの品質が決まるので、オリーブの品種に適した工程時間で作業が行われます。ペースト状になった実はシート状に広げられ重ねられて圧縮されます。油分と水分は圧搾機の脇と中心の溝に流れていき、搾りかすはそのまま残ります。抽出後、圧搾機を分解し、デカンテーションにより油分と水分が分離され、油分が保存されます。

連続抽出方式

この方法では、果樹園で異物などが取り除かれず、搾油工場で送風機を使ってオリーブの実より軽い異物を取り除き、洗浄により実より重い異物を取り除きます。

その後、ナイフ圧搾機によって粉砕されます。次の遠心分離工程で油分を抽出しやすくするために、圧搾によってできた実のペーストに熱湯を加えます。水平型または垂直型の遠心分離機で油分と水分を分離します。この工程が繰り返されます。その後、油分は不純物を取り除くためにデカンティングされ、精製後、保存されます。最後に、ガラス製または金属製の容器に充填されます。

この二つの方法のうち最も重要なのは連続方式で、最も幅広く採用されており、収穫量を最大にすることが可能です。なかには、この二つの方法を組み合わせて作業を行っている搾油工場もあります。

地形(土地の起伏)および気候

オリーブ栽培とオイル製造の地域は、シエラ・モレナ山脈(Sierra Morena)の麓のエクストレマドゥーラ(Extremadura、スペイン中西部)州の南に位置しています。この土地は起伏が激しいですが、丘はそれほど高くありません。オリーブ果樹園はセイヨウヒイラギガシの森や穀物農場のそばにあります。台地のほとんどを低木地が占めており、典型的な地中海の景観を呈しています。降雨量は少なく、他の植物の栽培には向いていません。標高300m~500mの準平原と標高600m~800mの山地があります。低地では穀物やブドウ、オリーブが栽培されており、斜面には大規模なオリーブ果樹園やセイヨウヒイラギガシがあります。さらに上には、雑木林、荒地、そして石英のガレ場があります。オリーブは通常、粘土質のローム層の土壌で栽培されますが、近年では粒子の細かい土壌で栽培されることもあります。pH値は酸性からわずかに酸性寄りの土壌です。土壌の深さは様々で、粘板岩が見えているところや深さが50センチを超え、保水に適しているところもあります。気候は地中海性気候ですが、大西洋に隣接しているため大陸性気候の特徴も併せ持っています。冬はそれほど寒くないですが、夏は長く暑いです。降雨量は500ミリ未満、平均気温は16℃~18℃で、夏の最高気温は40℃にも達します。

この地域では、アロニス(Arróniz)、エンペルトレ、アルベキーナの実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。原産種のアロニスが主要品種で、全体の10%以上を占めており、オイルにはっきりとした特徴を生み出しています。

特徴

中から強(>4.5)程度のフルーティさと青々とした香りがあり、複雑ですが非常にバランスの取れたオイルです。辛味と苦味をはっきりと感じられ、そのバランスは良く、マイルドさもありますが甘みは感じられません。

その他の特徴

‐・高濃度のオレイン酸(72%超)を含んでいます。
・‐酸度:最大0.3%

製造および加工方法

オリーブの栽培:

オリーブの実は伝統的な方法を用いて、木から直接収穫されます。地面への接触を防ぎ、実が傷つかないように、手摘みや木の下に毛布を敷いて木を叩いたり、機械で揺らしたりして実を落として収穫します。収穫機械が使われることもあります。収穫は10月~2月中旬までいつでも行われます。最初に収穫する品種はアルベキーナで、最後の品種はアロニスです。通常は熟成度が3.5~4の時に実が収穫されますが、アルベキーナは実が青いときに収穫されます。実同士が実同士がこすれて傷つくのを防ぐために、収穫後48時間以内に粉砕されます。

搾油:

一般的に、加工および充填工場は連続方式を採用していますが、加工、選別、油分の抽出については工場によりわずかに違いがあります。最も普及している搾油方法は、ハンマーミルを使う方法です。ハンマーミルは通常、実のペーストから油分を抽出する機械が設置されている場所に隣接した別のエリアに設置されています。

エクストラバージンオリーブオイルの製造工程は、粉砕、ペーストの圧縮、30℃以下でのコールドプレス、遠心分離、デカンティング、貯蔵室での保存です。抽出された油分は、デカンティング・タンクに運ばれます。デカンティング工程後、ステンレス鋼のタンクに入れられて、工場内で保存されます。

充填および販売:

オイルは変化し続けるので、充填工程はPDO認定地域内で行われます。そのため、充填は認定オイルの品質と特徴を維持するために非常に重要な工程であり、製造工程の最終段階として考えられています。

地形(土地の起伏)および気候

オリーブ農園の北端は、いわゆる地中海のナバラと呼ばれる地域で、そのほとんどの地域がエブロ川流域、標高600m未満のところにあります。

土壌は徐々に深くなっており、濃い白亜質の土壌で炭酸を含んでいます。降雨量が非常に少ないため、土地の白亜化が進んでいます。

気候は地中海の影響を受け、オリーブが熟す期間は乾燥した晴天が続きますが、昼夜の寒暖差は激しいです。1年のうち平均して120日以上が晴天ですが、「シエルソ」と言われる北西の風を受け、冬は寒く、夏は乾燥しています。年間190日は霜が降りることがなく、初めて秋霜が降りるのは10月の中旬ごろです。

PDO アセイテ・デ・テラ・アルタ(Aceite de Terra Alta)

この地域では、エンペルトレというオリーブの木(学名Olea europea L.)の実を主原料としてエクストラバージンオリーブオイルを作っています。エンペルトレとアルベキーナ、モルダ、ファルガを混ぜたものもあります。実の油分を決して損なわないように機械または手作業で製造され、原材料の実の風味や香り、特徴を残しています。

特徴

オイルの色は淡い黄色から濃い黄金色です。早期収穫された実から作られたオイルにはフルーティさがあり、遅い時期に収穫された実から作られたオイルにはわずかに甘みが感じられます。また、アーモンドやアオクルミのような香りがあります。

その他の特徴

分析データ

  • 最大酸度(オレイン酸の割合):0.50
  • 最大過酸化物価(meq. O2/kg):18
  • K270:最大0.20
  • K232:最大2.50
  • 最大水分量および揮発性物質(%):0.20
  • 最大不純物(%):0.10

製造および加工方法

通常は1ヘクタール当たり50本から80本のオリーブの木が植えられていることが多いです。栽培方法はこの地域の伝統的な方法が使われています。剪定は木の高さを低くするために古い枝を取り除くように行われ、丸い形に剪定されます。これにより生産量が増え、収穫しやすくなります。現在、この地域のオリーブ果樹園のうち90%では灌漑していませんが、残りの10%では点滴灌漑が導入されています。

オリーブの実は、枝から直接手摘みする伝統的な方法か、木を揺らす機械を使って実を取り除く方法で収穫されます。適切な加減に熟した状態の良い認定品種の実だけが集められます。搾油工場へは、実の品質低下を防ぐためのガイドラインに沿った条件下で運搬されます。その後、様々な機械工程を経て油分が抽出されます。

オイルの製造工程は、粉砕、攪拌、固形物と液体の分離、保存に分かれています。品質の変化を避けるために、収穫された実は収穫後48時間以内に粉砕されます。

樹齢が最低5年のオリーブの木の実から取れるオイルのみに認定資格があります。評価後、オイルは容器に充填されます。その容器の容量は最大でも5リットルです。製造からラベリングまでの全工程は、生産地域内で行われます。

地形(土地の起伏)および気候

物理的環境の特徴により、この地域に微気候が存在します。オリーブの木のバイオリズムに影響し、結果的にオリーブの実にも影響を及ぼしています。この特徴とは標高、自然の壁、風です。

標高:PDO認定を受けたこの地域は平均標高400mの高原にあります。

自然の壁:3つの山がこの地域に集中しています。パンドル(Pàndols)山地とカヴァルズ(Cavalls)山地の頂上は標高が約700m、一番見つけやすいのは北にある標高1,400mのエル・ポート・デ・ベイセテ山(Els ports de Beseit)です。

風:この地域では、風は重要です。強風というほどではなく、むしろオリーブ栽培に有益に働いています。最も重要な風は、湿気のある爽やかな風「ガルヴィナーダ(Garvinada)」と穏やかな風「セルク(Cerç)」です。グラヴィナーダは穀物に必要な水分を運び、セルクは菌など健全なオリーブ栽培への脅威を避ける役割を果たしています。これにより、オイルの原材料となる実が最適な熟し具合になります。

PDO アセイテ・デル・バッシ・エブラ・ムンシアー
(Aceite del Baix Ebre- Montsiá)

この地域では、原産種であるモルダまたはモルー(Morrut)とセビジェンカ(Seivillenca)、ファルガの3つのオリーブの木(学名Olea Europea L.)の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。実の油分を決して損なわないように機械または手作業で製造され、原材料の実の風味や香り、特徴を残しています。

特徴

濁りのない透明で澄んだオイルです。色は収穫時期と生産地内の場所により、緑がかった黄色から黄金色と異なっています。収穫時期の初めの頃に収穫された実のオイルは非常に香りが高く、フルーティさがあります。収穫が進むにつれて、わずかに甘みが感じられるようになります。

その他の特徴

分析的特徴

  • 最大酸度(オレイン酸の割合):0.8º
  • 最大過酸化物価(meq. ox/kg)(1):18
  • K270:最大 0.20
  • K232:最大 2.00
  • 最大水分量および揮発性物質(%):0.20
  • 最大不純物(%):0.10

製造および加工方法

オリーブの木は1ヘクタール当たり70本から90本植えられています。栽培方法はこの生産地のほぼ全域で共通です。剪定により、古い枝を取り除き、実がつきやすく収穫しやすいように丸い形に剪定されます。オリーブ果樹園の96%で乾地農法が採用されており、4%では灌漑が行われています。収穫は、実が十分に熟したときに木から手摘みする「ミルキング」という方法で行われます。収穫された実はプラスチック製の箱かトレーラーの散荷で、実にダメージを与えないように品質マニュアルに沿った条件下で、搾油工場に運搬されます。

搾油工場に運搬されたら、積荷は品質によって分類されます。その後、洗浄して重さを量り、オイル製造量と酸度試験用にサンプリングします。収穫から粉砕までを48時間以内に行います。

機械でオリーブの実から油分を抽出します。この抽出工程には、洗浄、粉砕、ペーストの圧縮(35℃で90分~120分間)、分離、保存が含まれています。最後に、オイルを最大容量5リットルの容器に充填します。栽培からラベリングまでの全工程がこのオリーブ生産地で行われます。

地形(土地の起伏)および気候

バッシ・エブラ・ムンシアーでオリーブ栽培が行われている地域は、カタロニア南部沿岸に広がる山々の間の流域に位置し、エブラ川から非常に大きな影響を受けています。東側にはトルトーサ=ベセイト(Tortosa-Beceite)山地があり、その標高はカロ山(Mount Caro)で1,447mです。西側には、カルド(Cardó)山地とボア(Boix)山地があります。地中海の影響を受け、穏やかな気候です。

土壌は浸食された石灰岩で、地元では「タペロット(taperot)」という名で呼ばれる石灰の地表で覆われており、深さは様々です。この石灰岩のアルカリ性がこの環境とオリーブオイルを結び付けており、他のオリーブ栽培地にはないバッシ・エブラ・ムンシアーの特徴となっています。

気候は、沿岸性地中海性気候です。冬はかなり穏やかで、平均の最高気温は23℃)と、隣接地域よりも約2℃高いです。この気温の高さにより、他の地域よりも早く実が熟します。気候の特徴的要素は北または北西の寒冷風であるミストラルもこの地域の特徴の一つです。持続性があり乾燥した風で、また秋と冬に暴風になります。エブロ川流域とその起伏によって風の勢いが増します。

PDO アセイテ・デル・バホ・アラゴン(Aceite del Bajo Aragon)

この地域では、エンペルトレ、アルベキーナ、ロイヤルという3つの品種のオリーブの木の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。この地域の主要品種であるエンペルトレの特徴を生かすため、その使用割合は80%以上、そしてアルベキーナとロイヤルは最高20%までとなっています。

特徴

色は山吹色から濃く深い黄金色です。収穫時期の始めの頃の実のオイルはフルーティさがあります。また苦味のないアーモンド風味がわずかにあり、甘みと辛味も感じられます。

その他の特徴

分析データ

  • 最大酸度(オレイン酸の割合):1.00
  • K232の最大値(n.m.):2.00
  • 最大過酸化物価(meq. O2/kg):20
  • 水分量および最大揮発性物質(%):0.15
  • K270の最大値(n.m.):0.15
  • 最大不純物質(%):0.10

製造および加工方法

オリーブは登録されたオリーブ果樹園で育てられています。人工灌漑を導入している果樹園もありますが、導入していないところもあります。耕運機で土の表面を3回耕し、収穫時に1回表面を耕します。施肥には窒素が使われ、オリーブの木1本当たり窒素1kgを超えない量を年1回撒きます。若木は樹形のために軽く剪定され、成木は一定の葉や枝の割合を維持するために剪定されます。

実が熟すと、できるだけ丁寧に木から直接実を摘みます。収穫は、長い棒で幹を叩いて木から実を振り落とす「バレオ」と呼ばれる伝統的な方法で行われており、この方法が最も幅広く採用されています。収穫後、実はすぐに搾油工場に運ばれ、収穫後48時間以内に実の油分が抽出されます。

搾油工場では、先ず収穫した実を品種、熟し具合、実の状態によって選別します。次に、実の表面の異物を取り除き洗浄して、重さを量ります。その後、擦りつぶしのために保存されます。擦りつぶすと、実の構成物質が粉砕され、種を取り除く必要が無く液体の構成物質を採取することができます。そして、攪拌して実のペーストとその他の物質を分離し、オイルを少しずつ抽出します。上記2つの工程の結果できた実のペーストがオイルの基になります。ペーストの液体と固形を分離ろ過と抽出によって分離します。分離ろ過ではペーストの上層部分に残っている油分を分離します。ペーストはフィルターの役割をする円形のマットの上に広げられ、液圧プレスに積み重ねられます。圧力をかけると、油分、水性の副産物、果肉の残りが抽出されます。この最初の圧縮で取れたオイルがエクストラバージンであり、最高品質のオイルです。

液体の油分が抽出されても、その中には小さな固形物質がまだ含まれているため、これらを取り除かなければなりません。そのために、デカンテーションまたは遠心分離、もしくは両方の方法が行われます。

オイルが抽出されたら、ボトリングまたは缶詰工程、販売に向けて倉庫で保存されます。保存期間中も、オイルは変化していきます。苦味の香りが幾分か無くなり、甘みと心地よい風味、香りが出てきます。

充填には、ガラス、PET、錫、防水加工済みの厚紙が使われます。また、日光によりオイルの品質が劣化しないように、不透明な容器が望ましいです。

地形(土地の起伏)および気候

栽培地の地形は、平たんまたは穏やかな起伏があります。カスぺ(Caspe)地域の標高は122mですが、アルコリサ(Alcorisa)地方は標高632mです。土壌は石膏層を含む白亜質の土壌で、低層の湖沼堆積物と中新世時代の温暖で乾燥した気候がその特徴を表しています。この地域は特に乾燥しており、時折不定期に雨が降ります。年間の平均降雨量は350ミリで、平均気温は14.8℃です。地理的障壁により、この地域は地中海と大西洋両方の沿岸気候の影響から隔離されています。そのため大陸性気候の影響を受け、寒暖差が激しくなります。北東の強い北風であるシエルソによりさらに乾燥した気候になっています。

PDO アセイテ・シエラ・デ・モンカヨ(Aceite Sierra de Moncayo)

この地域では、エンペルトレ、アルベキーナ、ネグラル(Negral)、ベルディアル(Verdial)、ロイヤルというオリーブの木(学名Olea Europea L)の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。下記に記載の割合でそれぞれの品種が使われており、実の油分を決して損なわないように機械または手作業で製造されています。また、原材料の実の風味や香り、特徴を残しています。

‐エンペルトレ:最少70%

‐アルベキーナ:最大25%

‐少量品種としてネグラル、ベルディアル、ロイヤルのうち少なくとも1品種を使用。しかしこの3品種の合計が5%を超えないこと。

特徴

シエラ・デ・モンカヨ地域のオリーブオイルを官能分析すると、フルーティさ(2.5を超える中程度)とわずかな苦味と辛味(最大4.5)があります。

その他の特徴

  • 最大酸度:< 0.5º
  • オレイン脂肪酸:>70%
  • リノール脂肪酸:<11%
  • K270の最大値(n.m.):0.12
  • K232の最大値(n.m.):2.00
  • 最大過酸化物価:16.0
  • 最大不純物質(%):0.10

製造および加工方法

この地域で栽培されているエンペルトレ、アルベキーナ、ネグラル、ベルディアル、ロイヤルはすべて何世紀にもわたって自然淘汰により改良され保護されてきました。その結果、この地域の条件に完全に適するようになりました。そして複数の品種を組み合わせた最終製品となり、他のオリーブ栽培地域の製品には見られないような際立った独自の特徴を持つようになりました。

この地域のオリーブの木は灌漑を行っていない土壌で、伝統的な方法により栽培されています。

オリーブの実が早摘みに十分適した熟し具合になると、木から直接収穫されます。収穫時の成熟度指数は3~6です。オリーブ栽培とオイル製造両方とも、PDO認定地域内で行われなければなりません。

製造工程のすべての段階で製品の特徴を維持するために、充填もPDO認定地域内で行われます。

オイル容器のラベルには販売元、認定ロゴが記載されており、また容器には製品認証機関からの承認を示す品質管理シールが貼られます。さらに容器の後ろには、品質保証を示すラベルも貼られます。製品を追跡できるように、充填工場で採用している英数字コードも記載されます。

地形(土地の起伏)および気候

このPDO認定を受けたオイルの製造地域はエブロ渓谷とモンカヨ山塊を形成している山々の間に位置しています。

エブロ川の広大で平坦な段丘とイベリア山脈の間の中間あたりを占めています。

認定地域の地方自治体は、ケイレス(Queiles)川とウエチャ(Huecha)川の岸に位置しており、この地域の典型的な土壌と天候条件がこの認定地域の特徴です。土壌は主に硬質で白亜質の土壌と様々な要素からなるミネラルで構成されています。

土壌は深く、炭酸カルシウムが広範囲にわたって存在しているため、pH値は低いです。この地域の土壌に共通するその他の特徴としては、その構成が有機物をわずかしか含まないローム層であることが挙げられます。

この地域は大陸性の地中海性気候の平原が大部分を占めています。年間の平均降雨量は450ミリ~467ミリで、雨期は春と秋です。

平均気温は7℃~14℃で、7月と8月が一年間で最も暑く、最も晴天が多い時期です。最高気温は40℃に達し、夏には雷雨が度々発生します。12月~2月は一年間で最も寒い時期で、2月の気温は-16℃まで下がることがあります。

平均蒸発散量は年間600ミリ~750ミリで、乾燥した地域です。

カンタブリア海と地中海の気圧の差によって、この地域の特徴である冷たく乾燥した風のシエルソが吹きます。シエルソは冬と早春に頻繁に発生し気温が急激に下がります。また強くて長く続く風であることから、風速冷却と乾燥効果を生じます。その結果、土壌も乾燥し霧や霜が発生するのを防ぐため、この地域のオリーブ栽培に非常に有益な影響を与えています。

PDO アンテケラ(Antequera)

この地域では、オヒブランカというオリーブの木(学名Olea europea, L.)の実を主原料としてエクストラバージンオリーブオイルを作っています。その他にオイル製造に使われる品種は、ピクアルまたはマルテーニョ(Marteño)、アルベキーナ、レチン・デ・セビーリャ(Lechín de Sevilla)またはソルサレーニョ(Zorzaleño)、ゴルダル・デ・アルチドナ(Gordal de Archidona)、ピクード、ベルディアル・デ・ベレスマラガ(Verdial de Vélez-Málaga)、ベルディアル・デ・ウエバル(Verdial de Huévar)です。

これらのオイルには、グリーンオリーブや熟したフルーツ、アーモンド、バナナ、青草のような香りが感じられます。軽い口当たりで適度な苦味と辛味が感じられ、かすかに感じる甘さとのハーモニーは絶妙です。オイルの色は収穫時期と認定地域内の位置によって淡い黄色から緑がかった黄色と異なります。

その他の特徴

この地域のオイルは適度に安定しており、ビタミンEが豊富です。これは、オヒブランカの特徴である高濃度のトコフェロールが含まれているためです。脂肪酸の含有量も非常にバランスが取れており、栄養学的にも有益なオイルです。また、オレイン酸の含有量は高く、リノール酸の含有量は平均的、飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の割合は高い数値を示しています。

分析データ

  • 平均的なフルーティさ:4以上
  • 酸度(%):0.30
  • 過酸化物価(オイル1kg当たりのmeq O2):10
  • K270 (吸収度270nm):0.15

製造および加工方法

この地域のほとんどのオリーブ果樹園では灌漑が行われていません。オリーブの木は格子状に植えられています。それぞれの区画の面積は8x8m~12x12mです。1区画には1本から4本、通常は3本のオリーブの木が植えられています。栽培方法はこの地域に伝わる環境に優しい方法で行われています。

棒で木を揺らし実を落とす伝統的な方法、または機械を使って木を揺らす方法、両方を併せた方法によって、熟した状態の良い実のみが木から直接収穫されます。収穫された実は農作業用トレーラーや木製、プラスチック製または金属製の硬質容器に入れられて搾油工場に運ばれます。収穫から48時間以内に、登録済みの搾油工場で擦りつぶされます。この工程は、食品業界での使用認可を受けた不活性物質で作られたハンマーミルを使って連続方式で行い、実のペーストの攪拌時は温度が36℃を超えないよう常時管理しています。保証食品グレード粉末だけが添加物として許可されており、1回分の添加量は最大2.5%です。

遠心分離によりペーストの液体と固形物を分離します。最初の遠心分離で取れた油分のみが認定を受けられます。水平型および垂直型の遠心分離機両方に添加される水の温度は35℃を超えてはなりません。適切な油分ろ過には、遠心分離機で6時間以上、重力でろ過する場合は約36時間となっています。

この工程で取れるエクストラバージンオリーブオイルは、光を通さない、ステンレススチールタンク、食品加工での使用が認められているその他の不活性物質で加工されている金属性タンク、または伝統的な地下樽に貯蔵されます。。オイルが入れられたタンクは完全に密閉されます。このタンクには適切なクリーニング、排水システム、サンプリング器が設備されています。倉庫では、オリーブオイルを適切な温度で保存するために、温度を調整しています。

オイルの追跡と原産地保証のために、PDO認定を受けたオイルは生産地内を散荷で運搬し、生産地内の登録工場で、ガラス、金属加工された容器または食品業界の承認を受けたセラミック容器に充填されます。

地形(土地の起伏)および気候

アンテケーラ地域には地理学的、形態学的、気候的に独自の特徴を備えています。この地域は緩やかな下り傾斜の地形に位置しており、標高400m~600mのところにあります。北はスブベティコ山脈(Subbaetic Sierras)と南はバエティコ山地(Baetic Mountains)と一連の山系に囲まれており、オリーブの木の栽培に適した穏やかな気候と土壌条件が揃っています。

オリーブの木は標高450m~600mの中層に植えられています。この土壌は、炭酸塩を20%~70%含む白亜質の土壌です。オヒブランカは、この土壌の特徴に非常に適しており、地面から非常に多くのカルシウムを得ています。アンテケラ盆地は保水性が高く、多くの河岸段丘があります。この河岸段丘は、鮮新世から中新世の赤色粘土に含まれる第三紀の沈殿物が豊富で、オリーブの木に豊富なカリウムを与え、非常に多くの水分を含んでいます。この特徴により、オリーブ農園の90%以上では灌漑を行っていません。

気候は、温暖から熱帯の地中海性気候で、アンダルシアのバエティコ山脈内に位置しているため大陸性の影響も受けています。このため、冬と夏、日中の寒暖差が激しいです。冬は気温が低いため、特にオヒブランカで実の熟成が遅くなります。そのためオヒブランカ・オイルの酸度は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸が減少し、オレイン酸が上昇します。

PDO バエナ(Baena)

この地域では、ピクードまたはカラスケーニョ(Carrasqueño)、レチン、チョルオ(Chorrúo)またはハルドゥオ(Jardúo)、オヒブランカ、ピクアルのオリーブの木(学名Olea europea, L.)の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。実の油分を決して損なわないように機械または手作業で製造されており、原材料の実の風味や香り、特徴を残しています。

特徴

バエナ地方の原産地呼称品種から取れるエクストラバージンオリーブオイルは濃縮されたフルーティさのある緑がかかった黄色から山吹色で、わずかにミント、アーモンド、リンゴの香りがします。味は複雑で、甘さとわずかな苦味と辛味があります。

その他の特徴

分析データ

  • 過酸化物価:最大15
  • 紫外線吸光度(K270):最大0.1%
  • 水分量:最大0.1%
  • 不純物:最大0.1%

製造および加工方法

果樹園でのオリーブの木の密集度は各地方自治体で多少異なります。古い果樹園では1ヘクタール当たり60本から80本植えられています。通常は1ヘクタール当たり100本ですが、多いところは200本植えられています。

収穫は、手で木から直接摘むまたは棒で枝を揺らして実を振り落とす伝統的な方法で行われています。もしくは、木を揺らす機械を使って収穫されます。収穫後、登録されている搾油工場に運搬され、48時間以内に実を擦りつぶします。搾油機には実に付着した異物を取り除き洗浄するための設備を付けなければならず、承認された搾油方法で作業を行わなければなりません。

搾油工程では、オイルの官能特性を損なわないように、実のペーストが30℃を超えないよう温度を管理します。同じように、連続方式で添加される水、サーモフィルター、遠心分離、ろ過工程中のオイルの精製でも温度管理が行われます。

オイルは最適な状態を維持するように保存されます。ステンレス鋼のタンクまたは伝統的な地下樽、もしくはセラミック、エポキシ樹脂、食品加工での使用が認められているその他の不活性物質で加工されている金属製タンクで保存することが推奨されています。これらの容器は必ず密閉されます。密閉されていない状態で保存されたオイルにはPDO認定資格がありません。保存後、オイルは充填工程に運ばれます。登録された工場で承認されたガラスまたは錫の容器に充填されます。

地形(土地の起伏)および気候

この地域は起伏が激しく、北は中新世時期に堆積してできた緩やかな起伏がある牧草地、南は急な傾斜になっています。このため、様々な景観、岩質、土壌が幅広く見られます。オリーブ果樹園は標高400m~600mに位置しています。気候は、温暖な大陸性で、特に夏は暑く乾燥します。雨期は11月~12月と2月~3月の2回で、6月~9月は全く雨が降らない長い乾期です。年間の平均降雨量は600ミリ~800ミリですが、オリーブに理想的な降雨量に満たない地域もあります。

PDO エステパ(Estepa)オリーブオイル

この地域では、オヒブランカ、マンサニージャ、アルベキーナ、ピクアル (マルテーニャとも呼ばれている)、レチンという品種のオリーブの実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。

特徴

オヒブランカが主要品種として知られており、独自の特徴と際立った質をオイルに多く生み出しています。この種のオイルには新鮮かつ熟したオリーブの実の香りと風味があり、わずかな苦味または辛味、そして甘みも感じられることがあります。

その他の特徴

  • 官能特性スコア:7以上
  • 酸度:最大0.3%
  • 過酸化物価:オイル1kg当たりの活性酸素 最大15m.e.q.
  • 紫外線吸光度(K270):最大0.18%

製造および加工方法

オリーブ果樹園では通常、12x12mで互い違いに植えるという伝統的な方法が採用されています。さらに密集させて狭い間隔でオリーブの木を植えている新しい果樹園もあります。

施肥は収穫後の冬に行われます。オリーブの木の密集度が高まった結果、灌漑も増え、現在では、ほとんどすべての果樹園で採用されています。

幹から枝を大幅に剪定して、オリーブの樹形を作っています。この方法はゴブレット剪定と呼ばれ、合理的な剪定方法として知られています。

十分に熟した実を木から直接、細心の注意を払って早い時期に収穫します。棒で木を叩いたり、手で摘んだりする伝統的な方法や機械で木を揺らす方法が使われています。オイルの原産地名称保護のためには、状態の良い実のみを木から直接収穫し、その実だけをオイル製造に使います(地面に触れた実は使われません)。

収穫された実はトレーラーか硬質容器でばら荷にされて運ばれます。実は、収穫後24時間以内に登録された搾油工場で搾油されます。

エクストラバージンオリーブオイルを製造する工程は、粉砕、実のペーストの圧縮、28℃でのコールドプレス、遠心分離、保存です。保存する際には、天然の特性を損なわないようにステンレス鋼のタンクを使用するのが望ましいです。この工程は化学的処理や添加物を一切加えない自然作用によるもので、オリーブの果汁そのものを得ることができます。

オイルは充填されるまで、タンクで保存されます。

地形(土地の起伏)および気候

この地域の気候は、典型的な地中海性気候で、冬は穏やかで夏は非常に暑くなります。降雨は不定期で、年間降雨量は約600ミリです。ヘニル川の岸の平たんな地形からスブベティカ山脈の最初にある山麓の丘まで起伏に富んでおり、非常に幅広いオイルが作られています。

PDO ガタ・ウルデス(Gata Hurdes)

この地域では、マンサニージャ・カセレニャ(Manzanilla Cacereña)というオリーブの木(学名 Olea europea, L.)の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。

特徴

この地域のオイルにはわずかな甘みがあります。また苦味と辛味のバランスが良いオイルです。バナナやリンゴ、刈り立ての草のような際立った香りと非常に濃いフルーティさが特徴的です。熟した実から取れるオイルの色は明るい黄色ですが、実の色が緑色から濃くなる時期またはその前に収穫された実から取れるオイルの色は緑がかっていることもあります。

その他の特徴

この地域のオイルは非常に安定した濃厚なオイルです。官能分析では、酸度は飽和脂肪酸に対する不飽和脂肪酸の割合が高く、またリノール酸に対するオレイン酸の割合も通常75%以上と高い数値を示しています。

製造および加工方法

この地域全体では伝統的な栽培方法が行われており、その密集度は1ヘクタール当たり通常250本以上と、非常に高い密集度で栽培されています。この密集度の高さは、他のオリーブ栽培地域では見られないこの地域の特徴の一つです。オリーブの木は非常に急斜面の段々畑で栽培されており、耕作機械を使うことは非常に難しいです。

繁殖は、若い枝を剪定したときに樹冠から取れるものを使う伝統的な方法で行われています。この伝統的な方法により、放射状に植えられた挿し木が成長し始めています。このPDO認定地域内の栽培方法は、昔からあまり変わっていないということが特徴的です。しかし、環境を保護する栽培方法は積極的に取り入れています。現代の栽培者は1年に1回から3回、春と初夏にトラクターと耕運機を使って二次耕作を行います。また複数の肥料が使われています。剪定方法は、完全に自由な形からテーブルオリーブの実を手摘みできるように木の背丈を低くする剪定に変わりました。

マンサニージャ・カセレニャの実の熟成は早く、様々です。木から簡単に取れるので、機械で収穫するのが容易です。オリーブの実は、DO専門アドバイザーが決めた時期に木から直接収穫します。地面に触れた実は、木から直接収穫した実と分けて扱われます。

収穫された実は、実が汚れたり傷ついたりしないように細心の注意を払って、コンテナで搾油工場に運ばれます。搾油工場には、収穫後12時間以内に運ばれます。搾油工場で積荷が降ろされた後、実は品質検査工程で、特に異物などの付着、傷、病気などについて検査し、それぞれの積荷は適切にラベルを貼ります。品質管理は、オイル製造工程の様々な段階で継続的に行われます。搾油したオイルは、健康面と安全面の規定を満たした指定の清潔なタンクで保存されます。

地形(土地の起伏)および気候

この土地は典型的な山地で、標高400m~2,000m(のセントラル山脈(Cordillera Central)の南斜面に位置しており、オリーブ栽培地は低地から標高800mにまで広がっています。土壌は、石英のような物質、主に花崗岩質岩石で構成されており、粘板岩と砂岩で大部分が囲まれています。

気候は大陸性ですが、大西洋の影響によりその特徴は緩和されています。冬は温暖な大西洋の影響でそれほど寒くなく、セントラル山脈が北からの風に対して自然の壁となっています。年間の平均気温は、山が多い地域で13.5℃、低地では16.5℃です。年間の平均降雨量は600ミリ~1,300ミリです。

PDO レス・ガリゲス(Les Garrigues)オリーブオイル

この地域では、アルベキーナとベルディエル(Verdiell)というオリーブの木(学名Olea europea, L.)の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。アルベキーナを少なくとも90%、ベルディエルを最大10%使用しています。実の油分を決して損なわないように、さらに原材料の実の風味や香り、特徴を残すように、機械などを使って製造されています。

特徴

この地域のオイルは、濃厚でこくのあるオイルです。収穫時期により異なりますが、グリーンオリーブまたは熟したオリーブを思わせるフルーティさと、青々としたハーブの香りやグリーンアーモンド、トマトの香りがあり、またわずかに苦みと辛味が感じられます。実が熟すにつれて、オイルの色は緑がかった黄色になります。また、まろやかな口当たりになり甘みが感じられるようになります。

その他の特徴

分析データ

  • 酸度:0.5未満
  • 水分量:0.1 %以下
  • 過酸化物価:最大15
  • 不純物:0.1%以下
  • K270:最大0.1

製造および加工方法

通常の栽培方法では、10x10mの格子状にオリーブの木が植えられており、その密集度は1ヘクタール当たり100本から120本です。最高品質のオイルを製造するために、この栽培地域の伝統的な方法で育てられています。オリーブの実は木から直接手摘みされ、収穫後48時間以内に擦りつぶし工程が行われるように、収穫したその日に搾油工場に運ばれます。木を揺らす機械も使われますが、実にダメージを与えないように最良の状態を維持するように配慮します。オリーブ本来の特徴を維持するために機械と手作業により油分が抽出されます。

地形(土地の起伏)および気候

レス・ガリゲス地区は起伏に富んでおり、15%~25%の傾斜があります。小さな低地と段々畑、山腹が交互に連なっています。この頂上は平たんで栽培に適しています。しかし耕作機械を使うには斜面が急すぎるところもあります。ウルジェイ(Urgell)地区は小さな川が流れるなだらかで広大な平原です。セグリア(Segria)地域は、セグラ(Segre)川と台地の一部に位置している肥沃な土地です。この台地がシンカ(Cinca)川流域から西側とこの地域の境界となっています。このPDO認定地域の平均標高は400m~600mです。大陸性地中海性気候で、一日の寒暖差、年間の気温差は海洋性の影響を受けている地中海性気候よりも激しいです。冬は非常に寒く、夏はとても暑く乾燥しています。平均気温は-2℃~24℃です。一般的に降雨は少なく、主に春に雨が降ります。年間の降雨量は350ミリ~450ミリであり、相対湿度は66%です。

PDO モンテス・デ・グラナダ(Montes de Granada)

この地域では、主にピクアル、ルーシオ(Lucio)、ロアイメ(Loaime)というオリーブの木(学名Olea europea, L.)の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。その他にも、エスカラバフエーロ(Escarabajuelo)、ネグリジョ・デ・イスナジョス(Negrillo de Iznalloz)、オヒブランカ、ゴルダル・デ・グラナダ(Gordal de Granada)という品種もオリーブオイル製造に使われており、すべてPDO認定地域内で栽培されています。

特徴

一般的に、この地域のオリーブオイルにはフルーティな香りと新鮮なグリーンオリーブまたは熟したオリーブの実を思わせる風味があります。口の中にふくむとわずかな苦味と濃厚なうまみが感じられますが、その度合いはオリーブの実の熟し具合により異なります。酸度は低く、オイルの色は淡い黄色から濃い緑色をしています。複数品種をブレンドしたオイルは、主要品種のピクアルの特徴が強く出ているため、色は緑で苦味がはっきり感じられフルーティな香りがあります。しかし、その他の品種をブレンドすることで、ピクアルのこれらの強い個性が和らぎ、様々な品種の実を思い起こさせる新鮮な香りと甘みを引き出し、色はさらに黄金に近い色になります。

その他の特徴

この地域のオリーブオイルは高濃度のオレイン酸を含んでおり、通常で80%以上、高いもので83%もあります。一価不飽和脂肪酸/多価不飽和脂肪酸の割合も12~20と高く、栄養面においても素晴らしい製品です。苦味の基になる構成要素により化学的にも非常に安定しており、他のオイルよりも酸化しにくいという特徴があります。

製造および加工方法

オリーブの木の栽培は、秋と冬の雨期を利用して行われています。土壌に空けられた深さ約50センチの穴に若木が植えられます。木の植え方は、植え付けた時代によって異なります。最も古いところでは、一区画12平方mですが、その他では一区画8平方mです。通常、一区画当たり2本から4本のオリーブの木が植えられています。さらに最近の果樹園では一区画5平方mに1本のみ植えられています。

土壌を耕作して枝や破片、土の塊を取り除き、きめ細やかさと水分を保ちます。耕作の代わりに緑肥の被覆作物が使われることもありますが、この方法を採用する農園は少なくなっています。実がならない枝や新芽を取り除くように剪定され、成長を均一にします。土壌の質、害虫の発生や病気の発症、天候により肥料や食物保護製品を使用することがあります。

この地域のオリーブ果樹園の95%は灌漑を行っていません。しかし、近年の干ばつにより点滴灌漑が一部の地域で導入されたことで、生産がより均一に維持できるようになりました。この種の灌漑は、降雨量により3月~9月に行われます。

実が地面に落ちる前に収穫が行われます。長い棒で枝を揺らして収穫する方法と木を揺らす装置がついている機械を使う方法の両方が採用されています。地面に触れた実はDO認定のオイル製造には適していないため、木から直接収穫された実とは別に運搬され、オイルの製造ラインも別になります。搾油工場へは、収穫したその日のうちに細心の注意を払って運ばれます。

搾油工場に着くと、積荷を降ろし、実に付着した異物が取り除かれます。その後、計量・洗浄されます。この工程により実を分類し、実に残っている葉や小枝、埃などを落とすことができます。

その後、擦りつぶしと攪拌が行われます。オリーブの実を砕くことで、細胞の構成要素から油分を抽出しやすくします。実を擦りつぶしてできたペーストから油分を抽出します。

抽出後、オイルは、認定を受けている容器に充填されるまで、光と温度が管理された環境下でステンレス鋼タンクに入れられて保存されます。

地形(土地の起伏)および気候

この土地の起伏、土壌、気候には非常に際立った特徴があり、オリーブはこの厳しい条件に最も適した作物です。主に、中山間地域で、深さが750m~900mの低地と、東から西にかけて伸びる最大標高2,000mの山脈が入り組んでいます。斜面は全体的に石灰岩で覆われていますが、なかには白亜質の土壌や、泥灰土と白亜質、泥灰土が露出している急斜面も見られます。さらに東にいくと、景観は穏やかになっていきます。低地に平原が現れ、ファルデス川がこの地域の最も東となります。このファルデス川は自然が作り出した東側の境界であり、この地点から物理的な地形が変わります。スペイン南東部の乾燥地帯がさらに典型的な景観となります。

土壌質は複雑で、いくつかの土壌が混ざりあっています。主に、石灰岩が分解されたものです。山から浸食された泥灰土物質が豊富で、炭酸カルシウムの含有量が高いですが(40%超)、表層は定期的な農作業によって変化しています。

気候は大陸性地中海性気候で、昼夜、冬と夏の寒暖差は非常に大きいです。年間の平均降雨量は400ミリ~600ミリですが、干ばつ期はさらに少ないです。冬は長く霜と雪により非常に気温が下がります。夏も長く、時には気温が40℃を超えるほど暑くなります。

PDO モンテス・デ・トレド(Montes de Toledo)

この地域では、コルニカブラというオリーブの木(学名Olea europea, L.)の実からエクストラバージンオリーブオイルを作っています。

特徴

コルニカブラ・オイルは、新鮮さとフルーティさが特徴です。青いリンゴや熟したリンゴの香りと共に、刈り立ての草のような香り、アボカドや柑橘類などの果物の香りがわずかにあります。口の中にふくむと、程よい苦味と辛味がありアーモンドのような風味が感じられます。オイルの色は、収穫時期と認定地域内の地形的な位置によって、淡い黄色から濃い緑と異なります。

その他の特徴

この地域のオイルの特徴は、オレイン酸の含有量が高く、リノール酸は低いことです。ポリフェノールの含有量も高いために、安定したオイルとして市場で認められており、評価されています。

製造および加工方法

オリーブの実は、手摘みや長い棒で枝を揺らして実を振り落とすという伝統的な方法または機械で木を揺らすという方法で、木から直接収穫されます。これらの方法は、木を傷つけないようにシーズンごとに交互に行われています。地面に触れていない実のみがPDO認定オイル用に使われるため、収穫時に選別されます。

収穫された実は、バルク状態でトレーラーや硬質容器を使って搾油工場に運ばれます。保存中に実そのもの重さで実がつぶれてしまわないように、また発酵が始まるのを防ぐために、収穫後24時間以内に、搾油工場に運ばなければなりません。

搾油工場の受入担当者は、積荷の実を品質ごとに正確に分類・選別します。各搾油工場には、地面に触れていないオリーブの実は他の実と分けて積荷から降ろし、品質ごとに確実に保存・加工されるシステムが構築されています。同様に、工場には洗浄システムがあり、目盛付きの計量器は承認を受けていなければなりません。積荷の降ろし方も実ができるだけ傷つかない方法でなければなりません。

オリーブの実はその後、塩素などを含まない清潔な(衛生的な)水で洗浄されて、搾油工程に進みます。擦りつぶしおよび攪拌工程で許容されている補助剤は、0.5%~2.0%の保証食品グレード粉末のみです。攪拌は60分以内で、1回のみ行われます。攪拌中の温度は、30℃を超えないようにします。攪拌後、実は水分と油分の混合物となり、遠心分離により油分を抽出します。その際の温度は35℃を超えてはなりません。

搾油工場で製造したオイルは分類されますが、認定は公認の技術者または製造所によって行われます。認定を受けたオイルは、必ずステンレス鋼のタンクまたはエポキシ樹脂かガラスファイバー製の遮光性容器に入れられて、出来る限り室内で保存されます。また、原産地呼称の名前が印されます。屋外で保存する場合、太陽光に当たらないよう、かつ温度が変化しないように十分配慮します。

タンクは蓋のある円錐形でなければなりません。また、定期的に水を切って、清潔に保つために傾けて保存されます。貯蔵室とタンクは、オイルの温度が25℃を超えないように整備されている必要があります。

オイルを充填工場にばら荷で運ぶ際には、液体の食品に適したステンレス鋼のタンクで運ばれます。また、そのタンクは、輸送会社によって清潔であることが保証されていなければなりません。充填工場には、認定を受けたオイルとその他のオイルを分けて充填するシステムが構築されています。さらに、オイルを計測するための標準システムも設備されています。オイルは、ガラスか金属、PET、釉薬のかかった陶磁器に入れられます。

地形(土地の起伏)および気候

この地域内には、環境保護となるカバニェロス国立公園(Cabañeros National Park)が位置しており、安定した気候と土壌がオリーブ栽培に適しています。この環境を保護するために、伝統的な農業が大きな役割を果たしています。

全体的に、この地域の気候は大陸性地中海性気候ですが、一般的な大陸性地中海性気候とは、わずかに異なっています。このDO認定地域の北と南の境界の地域は温暖な大陸型地中海性気候に分類される気候で、この地域の特徴となっています。

気温もオリーブの木と実の生育に適していますが、時には-3℃まで下がることもあります。しかし、このような過度な温度変化がオリーブの実にダメージを与えるほど長く続くことは稀です。

PDO モントロ・アダムズ(Montoro-Adamuz)

この地域では、ピクアル(ネバディジョ・ブランコ(Nevadillo Blanco))とネバディジョ・ネグロ(Nevadillo Negro)というオリーブの木の実からエクストラバージンオリーブオイルが作られています。レチン、ピクード、カラスクエーニョもわずかですが使われています。

特徴

この地域のオイルは、オリーブのフルーティさが強く非常に複雑な香りがあります。青葉の香りが高く、わずかに熟した実の香りも感じられます。オレイン酸の含有量が高く、口に含むと非常にこくがあります。また、辛味と苦味の度合いは平均的ですが、フルーティさと若々しいオリーブの葉の風味が強く感じられます。

その他の特徴

酸度は0.5%未満、水分量は0.1%未満、過酸化物価は最大20です。また、オレイン酸とポリフェノールのそれぞれの含有量と一価不飽和脂肪酸/多価不飽和脂肪酸の割合が高く、このオイルの安定した品質と特徴的な苦味を作り出しています。

製造および加工方法

オリーブ果樹園では、多少の違いはありますが、通常、10x10m間隔でオリーブの木が植えられています。最近では、さらに間隔が狭くなり7x5m~9x9mの間隔で植えられています。密集度は1ヘクタール当たり80本から300本と違いがありますが、最も多いのは1ヘクタール当たり100本から160本です。

土は手を加え過ぎない程度に、鋤や動力車などを使って1回、もしくは2回耕します。急斜面の土地では、土に手を加えず、木の周りの下草を残します。木の下への植生は土壌の浸食を防ぐ方法として推奨されています。

肥料については、土壌が浅く特に肥沃でない場合に、栄養補充法が使用されます。使われる肥料は作物の条件と土壌の特徴により中性pHか酸性のものを使います。木が健康的に育つために必要な栄養素を与え土壌を改良するために有機物質とカルシムと一緒に肥料が与えられます。

剪定は1年に2回もしくは3回行われます。木が植えられてから幹と枝が十分に育つまでの木の形を整えたり、実がなりやすいように剪定したり、全体を軽く薄くしたり、吸枝を取り除いたりします。これにより収穫量を増やし、オリーブの質も向上します。オリーブの木が年を重ねてきたときにも更新剪定を行います。木の上部を完璧に再生するために主枝を徐々に差し替えることもあります。

オリーブの木に害を与える害虫や病気を防ぐために、認定を受けた殺虫剤や除草剤が使われています。何も対策を取らなかった場合の害虫による損失よりも殺虫剤や除草剤などの費用が安く済む場合にのみ使われます。

収穫の理想的な時期は、分析パラメーターの研究結果により毎年決められますが、一般的には早期収穫が好まれています。

棒で叩いて実を振り落としたり手摘みしたりなどの手作業による収穫方法と機械による収穫方法の両方が行われています。収穫の際には、シートを広げたりして実が地面に落ちないように注意します。木から直接収穫されたダメージのない状態の良い実のみがPDO認定用のオイル製造に使われるため、地面に落ちてしまった実は分けて扱います。

収穫された実は、収穫後24時間以内に硬質容器の中で一括輸送されます。

搾油工場には、地面に落ちた実と木から直接収穫された実を確実に分けて荷降ろしするシステムがあり、加工前に混在しないように管理されています。その後、認定地域内のオペレーターの監督下で実の重量を量り、検査されます。このオペレーターは品質による分類と選別を担当しています。検査後、実は承認済みの洗浄システムに送られます。

搾油工場に運ばれてから24時間以内に登録された搾油機で粉砕されます。

まず、実は洗浄され付着した土や泥を落とします。その際には、飲用に適した水が使われ、オイルの特性に影響が出るような洗剤などは使われません。洗浄された実は、物理分析と化学分析のために積荷ごとにサンプリングされ、記録されます。その後、積荷の重量が計測されます。

次に実は搾油機に運ばれ、ハンマークラッシャーで果肉と種が均質のペースト状になるまで擦りつぶします。その後、ペーストを圧縮し、機械で油分を抽出します。ペーストを圧縮する際の温度は32℃を超えないように管理されています。ペーストの水分量が58%を超えた場合に、乳化剤として承認された食品グレード粉末を使います。その際には、最大でも2.5%の粉末が圧縮機のディスペンサーで加えられます。

分離工程には、連続式遠心分離が使われます。連続方式には2~3段階の工程が含まれています。

a) 遠心分地によってペーストの液体部分と固体部分を分離します。この作業には2~3段階の工程があります。デカンターに加える水の温度は32℃以下です。

b) 遠心分離によって液体要素を分離します。この作業には2~3段階あります。この段階で、抽出された油分をデカンティングし、水分と固形の不純物を取り除くために水を加えて精製します。この時の水は必ず飲用に適した水を使います。圧縮機から垂直遠心分離機への温度変化は維持しながら、35℃以下に温度を調整します。

その後、デカンティングが行われます。連続抽出システムには必須の工程で、果肉の残りを油分から取り除きます。デカンティングは遠心分離で最低6時間、重力によるろ過で最低36時間かけなくてはなりません。デカンティング室の温度は20℃~26℃です。ポンプや重力によって、垂直分離からタンクへオイルを移します。デカンティング室は、搾油工場の他のエリアとは完全に隔離されています。

搾油後、物理や化学的特性、官能特性に基づいて選別されます。

認定されたオイルは、適切にラベルが貼られたタンクに入れられ、他のバージンオリーブオイルと分けて保存されます。オイルは、ステンレス鋼のタンクまたは遮光性の不活性食品基準を満たした容器に充填され、密閉されます。タンクには密閉状態を確実に保つ蓋(もしくは栓)がなければなりません。

タンクは完全に密閉でき、かつ洗浄可能なものを使用します。また、定期的な排水とサンプリングができる必要があります。保存場所はオイルが正しく保存されるように、適切な温度に温度調整されます。オイルを充填工場に運ぶ際には、ステンレス鋼の液体食品用コンテナートラックが使われます。運送業者は、衛生面で認定を受けていなければなりません。

オイルの充填は、PDO登録を受けた充填施設で行います。

地形(土地の起伏)および気候

収穫の理想的な時期は、分析パラメーターの研究結果に基づいて毎年決定しますが、通常は、早期収穫が好まれます。

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